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2020/05/18 新型集塵機
 作業環境改修に合わせて集塵機を新規制作したので載せておきます。

 グラインダーでバードカービングの制作をしていると、集塵関係はどうしても問題になります。 市販のバードカービング用卓上集塵機もありますが、卓上集塵機は吸い込み口は正面固定になり、削る姿勢を固定しなくてはならないです。 自分の場合、膝の上で削ることが多いので、どうも合わないです。 また、大きな物を削る時、吸い込み口が正面にあると、作品が吸い込み口に当たってしまって削りにくかったりします。 正面吸い込みも悪くないのですが、下面吸い込みの方が汎用性が高いように思います。

 市販の集塵機も色々試してみたのですが、上記問題があったり、フィルタが直ぐに目詰まりして、あまり吸い取らなかったり、音が大きかったりと問題があることが多いです。 家庭用集塵機だと、他に彫金用の集塵機も考えられるのですが、こちらも似たような問題があります。 かと言って、木工所で使っているような大型集塵機を一般家庭で使うのは現実的でないと思います。

 一般家庭で手っ取り早く集塵するのであれば、掃除機を使うのが良いでですが、連続稼働が難しかったり、騒音の問題があったり、吸い込み口の固定が難しかったり、下手すると作品が吸われたりします。

 上記のような事情で、集塵機は自作するようにしています。自作するにしても、何となく作れば良いと言うものではないです。以下に家庭用集塵機の制作要件をまとめてみました。

【制作要件】
要件1:強力なファンを使うこと
 とにかく吸い取ってくれないことにはどうにもならないです。 市販の集塵機でもそうですが、パソコンの冷却ファンを使って集塵することが多いです。 以前、換気扇のモーターで試したことがあるのですが、あまり吸い込まなかったです。ファンは強力なものを使った方が良いです。 具体的には、ブレードの枚数、耐えられる電圧、回転速度などが大事です。また、1つより2つの方が良いです。
 
要件2:静かであること
 強力なファンは音も大きいです。一般家庭であまり大きな音は好ましくないと思います。 対策としては、ファンの回転速度を調整できるようにしておいた方が良いです。 粗削りの時は最大出力で動かして、それ以外は出力を落として使ったほうが良いです。 出力を抑えた状態でも、削る位置が吸い込み口の直ぐ近くならば結構吸い取ってくれます。 また、ファンのブレードにゴミが付着すると、音が大きくなったり、吸気性能が落ちます。 ファンの掃除ができるような構造が望ましいです。
 
要件3:フィルタが直ぐに目詰まりしないこと
 強力なファンを使っていてもフィルタが目詰まりしてしまうと性能が落ちます。 屋外に排出するのが一番良いのですが、そうも行かない場合、フィルタ面積はなるべく広くとった方が良いです。 フィルタは、どうしても目詰まりするので、メンテナンス性も大事になります。 また、厚いフィルタや目が細かいフィルタは、外部に漏れるゴミが減りますが、強力なファンでないと使えないです。 かと言って、薄いフィルタや目が大きいフィルタは、良く吸い込みますが、漏れるゴミも増えます。 フィルタは使用環境に合わせて調整するのが良いと思います。
 
要件4:吸い込み口の位置を自由に変えられること
 強力なファンを使っていても、ファンから遠いところで削っていては吸い取ってくれません。 かと言って、ファンの直ぐ近くで削るのは削りにくかったりします。 対策としては、フレキシブルダクトを使って、吸い込み口を自由に変えられるようにしておいた方が良いです。 吸い込み口の位置は、下面、正面、正面斜め上あたりが良いです。上面だと視界を遮りますし、側面だと邪魔になります。
 
 今回の集塵機は、上記要件を考慮して設計・制作しています。
写真 01
 ひとまず完成した集塵機です。必ずグラインダーと一緒に使うものなので、グラインダーを置けるようにしています。 また、先端ビットなど小物を置くスペースも確保しています。

 天板の大きさは、横45センチ、奥行き40センチです。天板までの高さは40センチです。 もっと高くしても良かったのですが、床で作業することもあるので低く作っています。 高さについては、ダクトで調整する前提としています。
写真 02
 正面フィルタを外したところです。フィルタは換気扇用のフィルターを使っています。 サイズは縦341mm、横297mmです。一番一般的な大きさで、一番入手しやすいサイズだと思います。 フィルタはマジックテープを貼った板で固定します。 簡単に取り外しできて、メンテナンスしやすい作りにしています。
写真 03
 フィルタは全部で4枚使っています。写真はフィルタを全部外したところです。 フィルタ面積が大きければ大きいほど、目詰まりしにくくなります。 ちなみに、以前使っていた集塵機の8倍の面積になっています。

 下面もフィルタを配置してもよかったのですが、直ぐに目詰まりしそうなのと、何か置くかもしれないので板にしています。 試してないのですが、水が入ったトレーや、濡れ雑巾を敷いておくと、水分にゴミが付着するので、フィルタ効果が期待できます。
写真 04
 メンテナンス性を考慮して、天板に付属する電源コードやスイッチは取り外せるようにしています。 スイッチ類はマジックテープで固定しています。
写真 05
 天板も取り外せるようになっています。ネジ止めしていないので、持ち上げるだけで取り外し可能です。
写真 06
 天板を裏側から見たところです。メンテナンス性を考慮してファンも取り外せるようにしています。
写真 07
 ファンを取り外したところです。使用しているファンは「Owltech F12-N/38」です。38mm厚、2600rpmです。 ネットで検索すれば簡単に見つかると思います。 ファンにはカバーを付けています。無くても良いのですが、作品をファンに落とした時の保険になります。 このカバーは、ねじ止めですが、簡単に取り外し可能です。

 ファンから出ている黄色コードは制御線だと思います。今回は使用しないので切断しています。使うのは赤コードと黒コードのみです。
写真 08
 ダクトを取り付けて削る時の例です。なお使用しているダクトはアマゾンで購入した「100mm 空調排気ダクト」です。 角度や長さを自由に変えられるので便利です。ただ、ダクトコネクターの直径が合わなくて、そこだけ少し苦労しました。
写真 09
 実際に削る時にはこんな感じに見えます。下からと正面から吸い取ってくれるので、ほとんど漏れなく吸い取ってくれます。 自分は右利きなので、グラインダーとハンドピースは右側に置いています。ハンドピースのコードが天板に引っ掛からないように天板の角は丸めています。
写真 10
 電源(変圧器)は「kashimura WM-17」を使っています。 定格電流は1Aで過電流保護回路が内蔵されており、電圧は、3V、5V、6V、7.5V、9V、12V、15Vの切り替えができます。 ファンの定格電流が0.38Aで、それが2つ(0.76A)なので丁度良いです。

 実際に使ってみると、5V以上なら動きます。最大の15Vにすると、かなり強力に回りますが、音も大きくなります。 用途に合わせて強さは調整した方が良いと思います。なお、ファンが2つなので騒音が2倍になるかというと、そうでもなく、1つの時とあまり変わらないです。  

写真 11
 ダクトの配置を変更した例です。先程より低い位置で使用する場合です。 ちなみに、メインスイッチは1つしかありません。なので、ファンを別々に動かすことはできません。 片方だけ動かす必要性を感じなかったのと、停止中のファンからゴミが逆流する可能性があるためです。
写真 12
 一番低い位置で設定した例です。吸い込み口の高さは約47センチです。 椅子を一番低くした場合は、この高さで削るのが削りやすいように思います。
写真 13
 試作品の塗装ブースを設置したところです。高さ25センチ、幅35センチ、奥行き55センチです。 正直言って高さが足りないような気がしますが、あまり大きな物は塗装しないので、個人的にはこれで足ります。
写真 14
 実際に使った時はこんな感じに見えます。下板が手前に大きく張り出しています。 天板が大きすぎると、照明を遮って暗くなるので、このような構造にしています。
写真 15
 フィルタと新聞を取り除いた状態です。ダクトの吸い込み口が見えます。 吸い込み口の手前にフィルタを設置すると、フィルタが直ぐに目詰まりして吸気能力が落ちますが、塗料がファンのブレードに付着すると厄介なので、このような構造にしています。 その代わり、フィルタは簡単に交換できるようにしています。
写真 16
 普段はこのような形で保管しています。コンパクトにまとめられるようになっています。
写真 17
 集塵機にはキャスターが取り付けられており、普段は、このようにラックに格納しています。 写真の状態で使用すると、簡易的な空気清浄機にもなります。 換羽真っ盛りのチハヤの細かい羽根やフケなんかも吸い取ってくれます。
 まだ本格的に使っていないので、細かい性能は不明ですが、少し使った感じでは良い感じでした。 本当は先週中に何か削ってみようと思っていたのですが、どうも体調が良くなくて断念しました。 作業環境の改修が一段落して気が緩んだのもありますが、コロナの影響もあります。

 世の中は外出自粛中ですが、元々引きこもっているので普段の生活はあまり変わらないです。 問題なのは、持病の貧血のせいか、マスクを付けて動くと直ぐに酸欠状態になって、かなりダメージがデカイことです。 買物に行く時はマスクをしていくのですが、帰ってくるとグッタリです。 なので、なるべく買物に行かないようにしているのですが、非常食の缶詰の在庫がヤバイです。

 鳥と散歩に行く時もマスクをしていくべきなのでしょうが、酸欠で気分が悪くなるので、していないです。 なるべく人気の無い所に行って、人目に付かないように行動しているのですが、何だか悪いことをしているようで気が引けます。

 緊急事態宣言が解除されても、マスクは必須装備になりそうですが、マスクしての外出は無理そうなので、この夏は、徹底的に引きこもらなければならなそうです。 作業環境の改修も完了し、そろそろ制作活動を再開しなけければならないと思っていたので、丁度良いと言えば丁度良いのですが、厳しい夏になりそうです。


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