トップバードクレイの部屋製作記録(番外編) >カケスの羽ブローチ

 製作背景、製作目的

 スズメの製作が完了したので、息抜きと次回作の研究目的で、
 カケスの羽ブローチを作ることにしました。
 
 今回の製作目的は以下の2点とします。
  
  ■ エゴノキの加工性能判定
  ■ 水可溶性油絵具の性能判定

 エゴノキを使う理由は以下です。
 
  ■ ジェルトンが輸入されなくなって、国産材で何とかしたい。
  ■ スズメではスギ材を使ったが、木目がありすぎてに苦労した。
  ■ 近所の公園から、偶然、伐採したエゴノキを入手できた。
 
 水可溶性油絵具を使う理由は以下です。

  ■「水可溶性」というのに惹かれたのと、単なる興味から。
  ■ アクリル絵具にはない、独特のツヤを期待して。
  ■ 乾燥時間が長いので、ボカシが楽かもしれないから。

 2009/06/14 削り 〜 バーニングまで

 木目がないので、カットアウトはスムーズにできました。
 
 エゴノキの比重は「0.55〜0.63」位だそうで、スギ「0.38」
 ジェルトン「0.43」,ホオ「0.49」,シナノキ[0.5」,
 サクラ「0.6」と比べると、そこそこ堅い木だと思います。
 
 削った感覚では、それほど堅いという気はしませんでした。
 感覚的には、ホウと似ています。
 木目、ささくれもそれほどなく、削りやすいほうだと思います。
 
 ただ、写真一番右側の材料は、一度虫に食われたようで、
 スカスカの部分があって、使い物になりませんでした。
 
 今回の材料は、比較的樹皮に近いところだったのもありますが、
 この材は、どうやら虫食いが多いようです。
 中心のほうまで穴があるときもあります。

 写真一番左の材のように、黒い所がある材もあります。
 削るのには支障ありませんが、この部分を削るとゴムを
 焦がしたような匂いがします。


 羽軸出しは問題ありませんでした。
 木目がないので、精密加工には向いているようです。
 
 ただ、少しささくれる所があるので、
 表面加工はしっかりしたほうがよさそうです。
 

 バーニングも問題なしです。
 黒い所は、やはりゴムを焦がしたような匂いがします。
 
 総合的には、いい材ですが、虫食いだけが気になります。
 それさえなければ、十分実用に耐えられると思います。
 
 2009/06/17 色塗り

 今回は、水可溶性油絵具を使って色塗りしてみました。
 使った絵具は「ホルベイン アクアオイルカラー[デュオ]」です。
 20色セットをインターネットで購入しました。
 
 この絵具は油絵具でありながら、水に溶けるという特徴があります。
 普通の油絵具は、筆を洗うのも専用溶剤(油臭い)がいりますが、
 この絵具ならば水で洗うことができます。
 

 使ってみた感想です。
 
【悪い点(注意点)】
 
 ■ 乾燥時間がかかります。使う色によって乾燥時間が変わるようで、
   完全乾燥には、1日〜4日かかるようです。
 ■ ドライヤーをかけると、見かけ上は乾きますが、完全には乾いて
   いないです。
 ■ 重ね塗りはアクリル絵具同様に、前の色をドライヤーである程度
   乾かしてから行う必要がありそうです。(色が剥がれます)
 ■ ウオッシングや、ツヤ出しは要注意です。乾燥が不十分だと、
   前の色が溶け出します。
 ■ 乾いたと思って、不用意に触ると色が剥げます。今回の作品も、
   少し触ってしまいました。
 ■ 塗り方に問題があったのか、隠蔽率が少し低いように思いました。

【良い点】
 
 ■ 絵具が乾きにくいので、焦って塗る必要がありません。
 ■ 粒子が細かいのか、塗り重ねてもバーニングが消えませんでした。
 ■ 色の伸びはいい感じです。
 ■ ぼかしが入りやすいです。筆一本で綺麗にぼかしができます。
 
 その他

 ■ 匂いはありません。
 ■ アクリル絵具同様に、水で溶かすことができます。
 ■ 筆も十分水で洗えます。
 ■ アクリル絵具より、少しだけツヤが強いような気がします。
 ■ 油絵具なので、ヘビーな仕上がりになるかと思っていましたが、
   かなりライトな仕上がりになりました。
 
【総合評価】
 
 一言でいうと、何となくビミョーな感じです・・

 バーニングが消えず、ぼかしが綺麗に入るというのは評価が高いと
 思います。また、独特のツヤも個人的には好きですし、何といっても
 ゆっくり塗れるのがいいです。
 
 ただ、乾燥に時間がかかり過ぎるのが、ちょっと厳しいです。
 ウォッシングすると、色が剥げるのは、かなり痛いです。
 また、隠蔽率が少し気になります。

 時間をかけて塗るのであれば、この絵具の方が綺麗に仕上がりそう
 ですが、アクリル絵具でもテクニックでカバーできそうな気がします。
 しかし、それでも独特の魅力があり、捨てきれないです・・
 
 初めての使用なので、まだ判断が付きかねますが、使えなくもない
 ことはハッキリしたので、別の作品でトライしてみてもいいかと
 思います。
 
 案外、水彩画のように、作品上で混色するように塗るといいのかも
 しれません。実験が必要そうです・・・
 
【今回の作品について】
 
 ハッキリ言って、今回の作品は失敗です。
 乾く前に触って、色が剥げたのと、
 ぼかしに頼って、色数を減らしすぎました。
 実験製作とは言え、反省です。
 
 一応、参考までに、今回の色塗り手順を載せておきます。

 @ 水彩色鉛筆で模様の下書きをする。
 A 水で薄めた、コバルトブルーヒューで青い部分を塗る。
 B 濃い青の部分を、コバルトブルーヒューで塗り重ねる。
 C パーマネントホワイトで白の部分を塗る。
 D コバルトブルーヒューとバーントアンバーを足して、
   黒い部分を塗る。
 E パーマネントホワイト、コバルトブルーヒュー、モーブ(紫)
   で全体を整える。モーブを使うと深みが出ます。
 F 4日間乾かす。
 G マットメディウムで、羽軸、羽柄のツヤをだす。

 ※ 本当は、もっと水色や紺色を使ったほうがいいです。

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