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 カオグロガビチョウの標本

 カオグロガビチョウの標本(死体)を入手したので載せておきます。この鳥はスズメ目チメドリ科の鳥
 なのですが、チメドリ科は基本的に日本に生息していない鳥みたいです。なので、この鳥は外来種です。
 原産は中国南部やベトナムで、日本には飼い鳥として持ち込まれたようです。
 
 8月に、東京都あきるの市で拾われました。死因は不明ですが、拾った時は息があったとのことです。
 羽の状態は良く、肛門も汚れていないことから、病気ではなく、事故死の可能性が高いと思います。
 嘴が曲がっているのも事故のせいかもしれません。
 
 体重は90gでした、ヒヨドリ、ムクドリ、シロハラ、ツグミなんかとほぼ同じ体重です。嘴の長さは
 20mm、フショの長さは40mmでした。南方系の鳥ですが、見た目は大変地味です。ヒヨやムクよ
 りも地味なんではないかと思います。生息場所も藪の中で、あまり目立たない鳥です。
 
 ただ、鳴き声の音量がハンパないです。鳴き声自体は綺麗なので残念です。また、あまり人を怖がらな
 いです。人懐こいと言えば聞こえは良いですが、ずうずうしくも感じます。
 
 ガビチョウは外来種で、現在も勢力範囲拡大中ですが、飛翔力が低いためか、爆発的に拡大している感
 じではないようです。特にカオグロガビチョウについては、あまり拡大していないようです。
 
 写真6を見ると分かるのですが、初列風切羽が大変短いです。外弁欠刻も全然発達していないようです。
 このタイプの翼は、小回りは効きますが、スピードは出ないです。藪のような狭い所に生息するのには
 都合が良いです。また、あまり一気に遠くに飛べないので、生息域が急拡大しないのも想像がつきます。
 
 ガビチョウは、野鳥に詳しい人からすると、煩いし、他の鳥の鳴きまねして紛らわしいし、見た目が地
 味だし、ずうずうしいし、藪の中ならチョロチョロ出てきてウザイ鳥…、てな感じで、すこぶる人気が
 ないのですが、野鳥に詳しくない人だと、どんな鳥か知らないけれど、綺麗な鳴き声で囀る鳥という認
 識だったりします。
 
 そんなガビチョウの鳴き声に興味を持った人に、ガビチョウの説明をすると、外来種と知って眉をひそ
 める人が多いです。しかし、同時にガビチョウを通して、鳥の事、野鳥の事に興味を持ってくれたりも
 します。あの大声も、鳥に興味を持ってもらうという意味では、案外役にたっているのかもしれません。
 
写真01 写真02 写真03
写真04 写真05 写真06
写真07 写真08 写真09
写真10 写真11 写真12
写真13 写真14 写真15


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