レジンキャストでのトラブルと対処法(2019-04-14) レジンキャスト初心者ですが、ここまでのノウハウを自分なりにまとめてみました。 自分用のメモなので読み難いですが参考までに…。 あと、素人なので間違っているかもしれません。 新たな発見等があったら追記するつもりです。 --------------------------------------------------------------------------------------------- 【前提事項】  ・真空脱泡、加圧脱泡は使わない  ・シリコーン型はダウンゲート式で作っている  ・レジンはポリウレタンレジンを使用(ホットキャスト)  ・型の作り方など基本的な事柄は記載しない 【トラブル一覧】  01.レジンに大きな気泡が入ってしまう  02.レジンに小さな気泡が入ってしまう  03.レジンを流している最中に硬化してしまう  04.レジン、シリコーンが硬化不良をおこす  05.シリコーンに気泡が入ったり流れ切れない  06.シリコーン型が壊れてしまう  07.原型のモールドに油粘土が入って取れない  08.パーティングラインが気になる  09.表面の一部がガサガサになる  10.その他、質問など 【参考サイト】  ・木固めエース普及会 https://kigatame.com/  ・里美デザイン https://www.d-satomi.com/  ・YZPハウス http://yzphouse.com/  ・型取りシリコーン物性表 http://hundredcast.seesaa.net/category/11574179-1.html --------------------------------------------------------------------------------------------- 01.レジンに大きな気泡が入ってしまう   原因:シリコーン型のパーツ配置(向き)が悪くて、空気が溜まってしまう箇所があるため。   対策:シリコーン型を作る時、パーツ配置(向き)を気をつける。   対策:空気穴を増設する。   対策:レジンを流す時、型を傾けて、気泡を出す。   対策:レジンが硬化する前に、型を軽く叩いて気泡を出す。   対策:透明シリコーンで型を作り、気泡の入り具合を確認できるようにする。   対策:シリンジを使って、レジンを強制注入して、勢いで気泡を押し出す。       ⇒シリンジを使う時は、気泡まで注入しないように注意する。   対策:空気穴の先端にレジン溜まりを作っておいて、レジンを多めに流せるようにする。       ⇒空気穴から盛れないようにレジンを流すと、レジンの量が少なくて気泡が上がりき        れないことがあるため。       ⇒レジン溜りがないと、レジンが空気穴から漏れて面倒なことになるため。       ⇒レジン溜まりは、他の空気穴となるべく共用しないようにする。空気穴にレジンが        詰まって、レジンが流れるのを阻害する可能性があるため。       ⇒レジン溜まりから溢れそうな時は、シリンジやスポイトで吸い取ると良い。なので、        シリンジやスポイトは、いつでも使えるように待機しておく。   補足:対策しても気泡は入ることがある。型を作る時に気泡の事も考慮しておいた方が良い。      気泡が入っても、パテで埋めやすい箇所を上の方にするなど。細い箇所や、細かい模様、      目立つ箇所などは、気泡が入り難い下の方にしておいた方が無難である。 --------------------------------------------------------------------------------------------- 02.レジンに小さな気泡が入ってしまう   原因:レジンに含まれる空気が、圧力、温度、湿度の関係で気泡になるため。   対策:表面の気泡対策には、型内にベビーパウダーを塗っておく良い。     :レジンを流す際に茶こしで濾しておくと、レジン内の微小気泡を多少除去できる。   補足:消泡剤も売っているが、あんまり効果無いように思う…。   補足:理論上は、レジンの温度を予め上げておけば、気泡が抜けるはずだが、硬化速度も速く      なるので注意が必要だと思う。(試した事はない)   補足:理論上は、レジンの圧力をずっと上げておけば、気泡の発生を抑えることはできるはず      なので、シリンジによる強制注入は有効かもしれない。   原因:レジンは水に反応して、微小が気泡が発生するため。   対策:エアコンなどで湿度調整をする。(湿度が高い日の作業は避ける)   対策:シリコーン型は良く乾燥させておく。   原因:レジンが古いと、レジン内に多くの空気が取り込まれているため。   対策:新しいレジンを使う。   対策:B液が劣化しやすいので、B液だけでも茶こしで濾しておくと良い。   補足:対策しても気泡は入ることがある。型を作る時に気泡の事も考慮しておいた方が良い。      気泡は、基本的に上の方に付くので、その面を重要でない箇所にしておくと良い。 --------------------------------------------------------------------------------------------- 03.レジンを流している最中に硬化してしまう   原因:湯口、空気穴が小さ過ぎて流れきれないため。   対策:湯口、空気穴を大きくする。   原因:パーツの配置が悪い。   対策:湯口から遠い程、レジンが流れるには時間がかかる。湯口からの距離を考えてパーツを      配置した型を作る。       ⇒型を作る時、湯口からレジンが流れていくイメージをシミュレーションする。最初        に流れるパーツと、最後に流れるパーツとの時間差が大きすぎると、流れきれる前        に硬化が始まってしまう可能性がある。       ⇒時間差が大きい場合は、早く流れるパーツの空気穴にレジン溜まりを作っておく。        そうしないと、レジンが溢れて面倒な事になる。       ⇒湯口に近いパーツからレジンが流れるが、早く流れるということは多く流れること        でもあるので、大きなパーツは湯口の近くに配置した方が良い。逆に大きいパーツ        を湯口から遠くに配置すると、流れきれない可能性が増大する。   原因:パーツ間の空気穴を繋いでいると、湯口に近いパーツに流れたレジンが、湯口から遠い      パーツの空気穴を塞いでしまうため。   対策:空気穴は繋がない。各パーツに対する湯口が1つで、空気穴が複数なのは構わないが、      逆は空気穴を塞ぐ可能性があるので避けたほうが良い。   原因:レジンの圧力が足りないため。   対策:下の方が圧力が高くなるので、パーツは湯口から下の方に配置した方が良い。湯口との      高低差があればあるほど圧力は高くなる。逆に湯口と同じような高さにパーツを配置す      ると、圧力が足りなくて流れない可能性が高まる。型の上部は余裕をもった設計にして      おくと良い。   対策:シリンジを使って強制注入する。   対策:湯口の高さをかさ上げする。ストローや、先端をカットしたシリンジなどで湯口を増設      し高さ(圧力)を稼ぐ。特にシリンジは、上手く流れない場合に、強制注入することも可      能なので使い勝手が良い。   対策:レジンの流し方が遅すぎると圧力が出ないので速やかに流す。空気穴からレジンが溢れ      るのを嫌って躊躇するのであれば、空気穴の先端にレジン溜まりを用意しておく。   原因:型を圧着しすぎていて、湯口、空気穴が潰れてしまったため。   対策:型を圧着しすぎない。   対策:湯口、空気穴を大きくする。   原因:硬化時間が早いレジンを使っているため。   対策:レジンは120秒タイプと180秒タイプがある。180秒タイプを使えば硬化時間が長くなる。      また、同じ数字でもメーカーによって若干違うので色々試してみると良い。   原因:レジンの温度が高すぎて硬化が早く始まってしまうため。   対策:レジンの温度が高いと早く硬化が始まってしまうので、予めレジンを冷やしておく。      但し、冷やしたレジンは気泡が発生しやすいので注意する。   対策:暑い部屋では作業しない。夏場は温度、湿度が高くなるが、どちらも良くないので、エ      アコンなどで調整した方が良い。   原因:段取りが悪いため。   対策:A液、B液を混ぜる前に、流す順番などを頭の中でシミュレーションし、無駄なく速やか      に作業する。ストップウォッチがあれば、時間を計りながら作業すると良い。A液、B液      をかき混ぜる時間は少なすぎると、硬化不良になるリスクが上がり、逆に長時間かき混      ぜると、流している途中で硬化するリスクが上がる。ストップウォッチでかき混ぜる時      間は30秒とし、後は流す時間にするなど、キッチリ時間を決めて作業すると良い。 --------------------------------------------------------------------------------------------- 04.レジン、シリコーンが硬化不良をおこす   原因:かき混ぜかたが足りないため。   対策:しっかり、かき混ぜるようにする。かき混ぜる時に使う棒は、丸い棒より板状の棒の方      が良い。   原因:混合比率が合っていないため。   対策:電子秤でキチンと量るようにする。できれば、0.1g単位で量れるような物が良い。電子      秤にシリコンやレジンが付着すると故障の原因になるので、使用時は、ラップで包んだ      り、透明なビニール袋に入れて使うと良い。   原因:レジンが古いため。   対策:レジンは古くなると品質が悪化する。特にB液は悪くなるので、その場合は、茶こしで      濾してやると良い。 --------------------------------------------------------------------------------------------- 05.シリコーンに気泡が入ったり流れ切れない   原因:シリコーンに空気が含まれているため。   対策:ある程度気泡が発生するのは仕方がない。原型の表面に気泡が入らなければ基本的に問      題ないので、原型周辺に流すシリコンは新しいシリコーンを慎重に流すと良い。   対策:一度に流すのではなく、気泡が抜けるように時間を置いて流すと良い。   対策:エアブラシなどで気泡を吹き飛ばす。   対策:シリコーンシンナーや柔軟剤でシリコーンを柔らかくする。       ⇒シンナーは入れすぎないように。取扱い説明書通りの比率にすること。 --------------------------------------------------------------------------------------------- 06.シリコーン型が壊れてしまう   原因:パーツ配置に無理があるため。   対策:パーツ配置に悪いと、異常に負荷がかかったりするので、そこから破断する。パーツ配      置は負荷も考慮しておくと良い。   対策:原型を作る時から複製することを考慮したパーツ分割にしておくと良い。   原因:シリコーンの強度に問題があるため。   対策:シリコーンは硬さ、伸び、引張強度がそれぞれ違う。硬いシリコーンは壊れ難く多くの      量産ができるが、逆テーパーがある場合は使えない。逆テーパーがある場合は引張強度      が高いシリコーンを使った方が良いが、柔らかい傾向にあるため、型が早く壊れたり、      ズレが発生しやすくなる。   対策:原型周辺のシリコーンは引張強度が高い柔らかいシリコーンを使い、それ以外は硬いシ      リコーンを使うと良い。   原因:型の表面が粗いため。   対策:型の表面が粗いと、型離れが悪くなる。型ズレを防ぐダボ穴は必要であるが、不必要に      表面は粗くしない。   原因:離型剤を塗っていないため。   対策:離型剤を塗っていないと型離れが悪くなるので、こまめに離型剤を塗る。   原因:型に気泡が入っているため。   対策:型に気泡が入っていると型の寿命が短くなる。型を作る時は気泡がなるべく入らないよ      うに気を付ける。   補足:型が壊れてしまったら、一時的に接着する接着剤も売っている。ただ、これはあくまで      一時しのぎ。また、マスキングゾルでも接着できないこともない。   補足:試した事はないが、シリコーンで接着することも可能と思われる。硬化剤を多めに入れ      ればシリコーンは早く硬化するので、粘りが出たタイミングで接着できると思われる。   補足:試した事はないが、液体ゴムやシリコーンコーキング剤も使えるかも。       --------------------------------------------------------------------------------------------- 07.原型のモールドに油粘土が入って取れない   原因:原型を保護していないため。   対策:型を作る際に、原型(鳥)を油粘土で埋めるが、この時に原型を保護していないと、粘土      がモールドの間に入ってしまって取れなくなる。粘土に触れる箇所はマスキングテープ      を張って保護しておくと良い。   補足:表面がツルツルのパーツの場合は必要ない。   補足:シリコーンバリアーは油粘土を溶かすので、筆などで溶かして慣らしても良いです。      ただ、この場合、油粘土が伸びるだけなので、油何度の除去はできないです。   補足:粘土が取れなくなった場合、歯ブラシなどで水洗いすると多少取れるが、原型を傷つけ      るのでお勧めしない。 --------------------------------------------------------------------------------------------- 08.パーティングラインが気になる   原因:型の合わせが悪い。   対策:型の圧着が緩すぎるとパーテイングラインが入りやすくなる。逆に強すぎると、ズレが      生じたりする。圧着具合は適度に行う。   対策:柔らかいシリコーンを使っているとズレが発生しやすくなる。可能なら硬めのシリコー      ンで型を作った方が良い。   対策:羽の向に平行するようにしたり、体の分かれ目などにパーティングラインが来るように      型を設計する。   対策:原型からパーツ分割してパーティングラインが気にならない設計にする。   対策:型ズレが発生しないように、ダボ穴はちゃんと作っておく。   対策:型ズレが発生しないように、ダボピンを使う。   対策:型の変形を抑えるため、型には当て木をしておく。   対策:一般的にゴムで押さえるが、ボルトを使って押さえると圧力が一定になって仕上がりが      良くなる気がする。   対策:原型周辺のシリコーンは引張強度が高い柔らかいシリコーンを使い、それ以外は硬いシ      リコーンを使うと良い。 --------------------------------------------------------------------------------------------- 09.表面の一部がガサガサになる   原因:細かい気泡が原因でない場合、シリコン型を作る際に、原型(木)に水分が入ってふやけ      てしまうため。   対策:原型の目止め処理はキッチリ行っておく。ルアーなどで使われるセルロース系での目止      めや、プレポリマー系(木固めエース)で目止めするのが良い。ラッカーを軽く塗っただ      けだと失敗する可能性が高くなる。 --------------------------------------------------------------------------------------------- 10.その他、質問など   質問:レジンを出す時、こぼれて悲惨なことになる。   回答:専用のポリノズルがあるので、それを使うことをお勧めします。   質問:シリコーンを出す時、こぼれて悲惨なことになる。   回答:対策が思いつかないです。缶に入っているシリコーンよりプラスチック容器に入ってい      るシリコーンの方が取り出しやすいと思います。なので、缶入りより、プラスチック容      器入りの方が良いと思います。それと、淵は綺麗に拭いといた方が良いです。   回答:何度も出すと汚れやすいので、必要な量を最初にまとめて出した方が良いです。   質問:必要なシリコーンの量が分からない。   回答:シリコーンを流す部分の体積を、立方センチメートルで計算し、その結果が必要なシリ      コーンの重量(グラム)です。例えば、シリコーンを流す体積が100立方センチだった      場合、必要なシリコーンは100gになります。ただ、これは大まかな計算なので、少し      多めに用意しておいた方が良いです。   質問:鳥の場合、全身がモールドなので湯口や空気穴を設置し難い。   回答:嘴に湯口や空気穴を設置する。パーツを分割して、切断面に湯口や空気穴を設置する方      法が考えられます。また、湯口や空気穴が不要な中空抜きができる「タケシール」を使      ってみるといいかもしれません。(試したことはないですが…)   質問:レジンに色を付けたい。   回答:専用のトナーがあります。白っぽくなってもよければエナメル塗料を混ぜても良いです。   質問:臭いが気になる。マスクはした方が良いか?   回答:防毒マスク(活性炭マスク)をした方が良いようです。A液とB液が揮発すると空気中で反      応するそうで、それを吸い込むとヤバイらしいです。   質問:シリコーン型を作ったら油粘土がカピカピなった。まだ使える?   回答:使う気になれば使えると思います。ただ、原型周辺には新品を使った方が良いかもしれ      ません。個人的には「ほいく粘土」は結構何度も使えるような気がします。   回答:型を作る時、シリコーンに面していた部分(カピカピの部分)の粘土は剥ぎ取って廃棄す      ると良いです。   質問:シリコーン型の硬化剤を、付属のスポイトで添加していたらスポイトが壊れた。   回答:硬化剤はスポイトを壊す性質があるので、予備を用意しておいた方が良い。硬化剤のビ      ンの穴が小さいので、別の容器に出して使うと使いやすい。   質問:シリコーン型の硬化剤を入れすぎた。   回答:硬化時間が早くなるはずですが、無茶苦茶多く入れない限りあまり変わらないと思いま      す。逆に硬化剤を多く入れると早く硬化するので、シリコーンの表面をコーティングし      たり接着したりするのに応用できる。   質問:型を作る際に使ったブロックにシリコーンが入って掃除が大変。   回答:ブロックを使わない方法があります。ブロック以外のツールもありますし、プラバンな      どで作っても良いと思います。また、ブロックにマスキングテープを張って、目止めし      ておく方法もあります。   質問:「電子はかり」がレジンなどで汚れて壊れた。   回答:「電子はかり」は透明なビニール袋に入れて使うと良いです。   質問:シリンジについて教えてください。   回答:シリンジはダイソーで売っている20mlのもので良いです。ただ、このシリンジは先端に      余計な部分があるので、そこはカットして使います。ハンズなどに行くともっと大きな      シリンジが売っていますが、30ml以上のはお勧めしません。大きくなると、圧力をかけ      るのに力が必要になり実用的でないです。      シリンジでレジンを強制注入する際には、シリンジ内にレジンを少し残して注入します。      全部注入してしうと気泡まで注入してしまいます。1回で注入できない場合は、何回か      分けて注入します。      シリンジはレジンが硬化する前に拭き取れば何度も使えます。拭き取るのを忘れた場合      は、後からでもレジンは剥がせます。ただ、この場合シリンジの寿命は短くなります。      ゴムの部分が特に劣化しやすいのでゴム部分だけでも拭き取った方が良いです。逆に、      先端の細い管部分は拭き取れないので、針金などを刺して剥がします。また、ゴム部分      には、時々、離型剤を噴いておくと劣化し難くなります。 ---------------------------------------------------------------------------------------------