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 資料紹介

 【基本情報】
  タイトル :鳥を識る: なぜ鳥と人間は似ているのか
  著者   :細川 博昭
  出版社  :春秋社
  定価   :1900円
  仕様   :白黒/320ページ/単行本
  ISBN   :ISBN 978-4393421345
  出版日  :2016/12
  
 【内容・レビュー】
  鳥類全般についての読み物です。基本的には「鳥の進化」「鳥の能力」を中心について解説していますが、
  鳥類と人間(哺乳類ではない)の共通点を探り、鳥類の研究から分かる人間の事、鳥類が人間に与えている
  影響などにも踏み込んでいます。
  
  鳥の本と言うと、大体以下のようなものが世の中に出回っていると思います。(多い順)
  
   @ 野鳥図鑑 : 鳥の識別方法について
   A 飼育書  : 飼い鳥の飼い方について
   B 鳥類学  : 野鳥の分類、分布、生態について
   C 獣医書  : 鳥全般の解剖学など
   D その他  : 鳥名辞典、民俗学など

  この本は、解剖学などの獣医書的な要素が多いですが、鳥の感情表現など飼育書的な要素、生態など鳥類学
  的要素も含んでいます。あと、恐竜学的な要素もあります。野鳥の識別とか、種類毎の分布や生態を知りた
  い人には向いていないと思いますが、単純に鳥ってカッコイイとか、可愛いとか、何となく凄いと思ってい
  る人は楽しめると思います。
  
  著者はインコ・ブンチョウ類を中心に飼育関係の本も多数書いている方なので、バリバリの野鳥専門系の本
  と違って親近感があります。どうも野鳥専門系の本は、小難しかったり、鳥はこうあるべきみたいな感じが
  あって、個人的には苦手なんですが、この本は初心者でも読みやすい内容になっていると思います。と言っ
  ても内容は完全に大人向けで、十分知的好奇心を満たしてくれると思います。
  
  鳥を飼っている人は、多分納得することが多いと思います。逆に鳥を飼った事がないの人、哺乳類LOVE
  な人だと、鳥をヨイショしすぎ、擬人化しすぎと不満に思うかもしれません。ただ、できれば後者の方に読
  んで貰いたい本です。全部は納得できなくても、このような考え方もあるんだなと思えると思います。
  
  ちなみに、自分は勿論、納得派です。毎日、家の中で自由にしているハヤブサやフクロウを観察していると、
  こいつらは、こいつらなりの哲学で「鳥生」を謳歌しているんだなと思います。鳥は頭の良い生物なので、
  鳥と言って見下さず、対等な気持ちで付き合ってやると、どんどん能力を開花させてくれます。例えば、原
  始人を原始人として扱えば、いつまでも原始人だと思いますが、原始人を現代人と同じように扱えば、脳の
  構造は大して変わらないので、多分現代人のようになると思います。鳥も似たようなものだと思います。
  
  あと、この本は恐竜関係の記述も多いです。昔の鳥関係の本は、あまり恐竜の記述は多くなかったのですが、
  最近は鳥類と恐竜類が同じになっているので、恐竜の記述が増える傾向にあります。自分は恐竜も好きとい
  うか「双弓類」全般が好きなんで、読んでいて楽しいです。自分の周囲は「双弓類」が好きと言っても「?」
  な人ばかりなので少々寂しいのですが、この本で少し癒されました。
  
  この本とは直接関係無いですが、アメリカではこんな恐竜展が行われたようです。ますます鳥と恐竜の垣根
  が無くなっていくようです。どうでも良いですが、羽毛恐竜の模型の完成度がメチャクチャ高いです。
  どうやって作っているんだろうと思います。ついでに、羽を「もはっ」と膨らませてリラックスしている、
  羽毛恐竜の模型も見たいものです・・・。多分、可愛いんだろうな・・・。
  
  少々話が脱線しましたが、この本は新しいのでアマゾンとかで普通に入手可能と思います。自分も普段鳥の
  事を勉強していると、人間との違いに気づいて、鳥を勉強すると人間への理解が深まると実感していまして、
  いつか文章にまとめたいと思っている次第です・・・。
  
  この本の「あとがき」で、まだまだ書ききれていない事が多いとのことです。自分もまだまだ知りたいこと
  が多いので、続編にぜひ期待したいところです。
  


  
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