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 日本鳥学会大会のエクスカーションで…

 日本鳥学会大会のエクスカーションで、「山階鳥類研究所標本収蔵庫・我孫子市鳥の博物館展示見学」に
 参加してきました。簡単なレポートを上げておきます。
 
 鳥の博物館は何度も行った事があるのですが、山階鳥類研究所は始めてです。自分の中では、謎施設で、
 イメージとしては、皇室関係と繋がっていて、エライ研究者が難しい研究をしているって感じで、自分に
 は縁の無い世界と思っていました。しかし、今回の見学で職員の方々の熱心な説明を聞いていて親近感が
 わきました。
 
 【開催概要】
  ・日時:2019年 9月16日 14:30〜16:30
  ・場所:山階鳥類研究所、我孫子市鳥の博物館
 
  ※各写真はクリックすると大きな写真が表示されます。
 
 我孫子市鳥の博物館展示見学

 我孫子市鳥の博物館は、多分10年振りくらいの訪問です。職員の説明を聞きながら10人ずつで周ったのです
 が、参加者が皆、鳥に詳しいので気持良く周れました。普段の自分の周りには、あまり鳥の分類や構造に詳し
 い人がおらず、中々こういった話で盛り上がれないので楽しかったです。
 
 約1時間の見学だったのですが、皆さん熱心に質問し、職員の方も熱心に答えてくれたので、全然時間が足り
 なかったです。自分も、10年前に比べて鳥の知識が大分増えたので、同じ標本を見ても感じ方が全然違って
 いて、あっと言う間に時間が過ぎました。
 
 今回は、写真撮影&公開OKとのことで、絶滅種と骨格標本の写真を載せておきます。絶滅種のついては、模型
 としていますが、本物の鳥の羽を使って作っているので、滅茶苦茶リアルです。骨格標本については、細部が
 分かるように、いつもより大きめな写真をアップしておきます。現在、チョウゲンボウの作図をしている最中
 なので、別種であっても、本物の骨格標本を見れるのはありがたいです。
 
 八王子からだと我孫子は遠いので、あまり行けないと思いますが、何かの機会に、また行きたく思います。
 今回は時間がなくて、買物をする余裕がなかったですが、ここで売っている出版物はお勧めです。特に以下は
 鳥の構造を勉強するのに役立つと思います。鳥の図鑑や写真集などは本屋で入手可能ですが、構造などの本は
 本当に無いので貴重です。薄い本ですが、お値段が安いですし、図が中心なので分かりやすいと思います。
 
 ・鳥の形とくらし1−餌とくちばし−
 ・鳥の形とくらし2−あしのしくみ−
 ・鳥の形とくらし3−つばさと飛行−
 ・鳥の感覚器官1−鳥の目のしくみとはたらき−
 
 ・鳥の博物館見学ノート
 ・鳥の博物館見学ノート
 
 「鳥の博物館見学ノート」は、子供向けの問題集のつもりなのだと思いますが、結構内容がハードです。
 ある程度「鳥類学」を勉強していないと、大人でも全問正解は無理だと思います。「鳥の博物館展示案内」
 は鳥博の展示物や説明文が全部載っているんじゃないかと思えるような内容で、こちらもお勧めです。
 それと、鳥と関係ないですが、我孫子駅の駅そばが美味いです。今回もガッツリいただきました。
 

ディアトリマ模型

ドードー模型

始祖鳥模型

スズメ骨格標本

ハト骨格標本1

ハト骨格標本2
 山階鳥類研究所標本収蔵庫見学

 いよいよ謎施設である「山階鳥類研究所」に潜入です。こちらも写真撮影&公開OKでした。施設に入ると、
 まず防腐剤の臭いが結構します。職員の方は慣れてしまって、あまり感じないような事を言ってましたが、
 多分普通の人は結構臭うと思います。
 
 今回は収蔵庫の見学会でしたが、薄暗い収蔵庫に入ると防腐剤の臭いが更にきつくなります。また、冷房
 がガンガンに効いていて、空気も乾燥しています。現役(SEしてました)の頃、不具合がある度に拉致監禁
 されたデータセンターのサーバールームを思い出しました…。
 
 ただ、サーバールームと違って、ここにあるのは貴重な標本の山です。宝の山と言っても良いです。「山」
 と表現しましたが、本当に山のように標本があって、足の踏み場にも困るような感じでした。基本的に標
 本は仮剥製の状態で管理されていて、タンスのような引き出しから仮剥製状態の鳥がドッサリ出てきます。
 
 仮剥製は見た目が死体で、毎日ウズラをバラしている者からすると全然問題ないのですが、見慣れていな
 い人には少々刺激が強いかもしれません。仮剥製以外の状態の標本も勿論あり、本剥製、骨格標本、翼の
 みの部分標本などもありました。また鳥以外の標本もいくつかありました。
 
 希少種の標本や、タイプ標本、絶滅種の標本などもあって、職員の方が熱心に説明してくれました。参加
 者の方々も鳥に詳しいの人ばかりで、マニアックな質問をしたりしていて、あっと言う間に時間が過ぎま
 した。
 
 山階鳥類研究所は取っ付き難い施設だと思っていたのですが、実際に見学してみると職員の方は親切で話
 やすいですし、標本や研究内容が素晴らしいものだと感じました。それと同時に、これだけの標本を維持
 管理するのは大変なのではないかと思いました。
 
 データセンターの場合は、堅牢な耐震建築、厳しいセキュリティチェック、立派な自家発電システムが必
 須あり、停電や地震があっても大丈夫なようになっていますが、山階鳥研の設備は、多分そこまでではな
 いと思います。夏場に長期停電でも発生したら、標本が痛むのではないかと危惧するところです。と言う
 か、かなり手狭なような気がしました。これ以上標本が増えたら、どうすのかと心配になります。
 
 結構財政的に厳しいような事も言ってましたし、謎施設でもなくなったので、微力ですが賛助会員になろ
 うかと思っています。謎施設と言えば、山階鳥研さんは、情報発信があまりなされていないように思って
 いたのですが、知られてないだけで、実際はそうでもないみたいです。
 
 「山階鳥類研究所標本データベース」と言うのをネット上に公開しているのですが、これがバードカービ
 ングの資料に役立ちそうです。データベースの存在自体は以前から知っていたのですが、仮剥製の写真ば
 かりで、バードカービングの観点では正直あまり使えなかったのですが、最近は情報発信に力を入れてい
 るようで、骨格の写真や、CTのデータも載るようになってきているようです。現在作図中のチョウゲンボ
 ウもCTデータが載っていて、作図で凄く使えそうです。もっと早く知っていれば良かった…。
 
 と言った感じで、2時間の見学会は、あっという間でした。相手がいなくて普段話ことができない、鳥の
 マニアックな話などもできて凄く楽しい時間でした。お忙しい中、熱心に説明してくださった職員の方々
 ありがとうございました!
 

仮剥製(ヒレンジャク)

仮剥製(ヤイロチョウ)

仮剥製

手賀沼のコウノトリ

収蔵庫

アホウドリのデコイ
 おまけ

 博物館、研究所と骨格や剥製を一杯見てきたのですが、やはり生きている鳥も良いです。
 下の写真は、うちのチハヤ(セーカーファルコン)です。眺めているだけで癒されます。
 
 今回、セーカーの剥製もありました。チハヤより大分色が薄くて、一見すると同じ種類と思えない
 くらいです。セーカーは個体差が激しい鳥ですが、様々な個体を見ると、同じ種類でも結構違って
 いて楽しいです。また、羽の生え方、骨格などの理解が深まると、同じ個体を見ていても見方が変
 わってくるので飽きないです。
 
 研究所では防腐剤の臭いがきつかったので、家に帰ってから直ぐにチハヤをクンスカしました。
 独特のハヤブサ臭に癒されます…。
 

くつろぐチハヤ

足が気になるチハヤ

羽繕い中のチハヤ

 
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