コクソ & 防水処理 |
現在制作中のハヤブサ胸像ですが、どうも形が気に入らないです。習作通りには削れていると思うのですが、
何か頭の形が気に入らないです。習作を作った直後は気にならなかったので、本番も一気に作ってしまえば
良かったのですが、時間を空けると色々気になるところ出てきます。まして、今回は目の前に現物が居るの
でなおさらです。
今回の作品も量産する予定なのですが、量産する度に気になる所だらけなのは、大変ストレスになります。
かと言って、今から作り直すのも大変ですし、作り直したところで上手く行くとも限りません。
んで、今回は作り直さずに、既存作品を修整する事にしました。以前、バードカービング教室で習っていた
時は、削りすぎた場合は、清く諦めるか、ウッドパテで修整すると習いました。今回は諦める気はないので、
修整なのですが、ウッドパテはエポキシ系のパテで、それなりに盛ったりするのはできるのですが、木に比
べて削り難いですし、バーニングを入れると溶けるという問題点がありました。
ウッドパテ以外に以前試した方法として「軽量石粉粘土」や「小麦粉+木粉粘土」を試したことがあります。
「軽量石粉粘土」は、基本石なので、バーニングが入り難いです。「小麦粉+木粉粘土」は、いい感じなの
すが、若干バーニングで溶ける感があります。
ネットで色々調べていたら「コクソ」と言うのがヒットしました。木粉と糊を混ぜてパテ状にして、隙間な
どを埋めるテクニックだそうです。木工業界では結構メジャーなテクらしいです。
で、試してみました(写真1)。繋ぎ剤に使う糊ですが、一般的には、ご飯粒や、糊漆を使うみたいです。
最初、ご飯粒で試そうとしたのですが、上手く潰すのが面倒だったので、今回は、左から、スチロール糊、
デンプン糊、木工用ボンドで試してみました。
結果、デンプン糊意外は、上手く加工できなかったです。グリーンストーンで削ると、ビットに纏わりつき
ますし、バーニングすると溶けます。ただ、強度は、デンプン糊よりありそうで、水も弾きます。
デンプン糊が良さそうなので「デンプン糊+木粉」で作った「コクソ」で更に実験してみました。(写真2)
ちなみに、使ったデンプン糊は、チューブ状の「ヤマト糊」です。100円ショップで購入しました。
白っぽい糊で、小学校の図工などによく使われる一番身近な糊です。
写真2の手順は以下です。
@ チュペロ材の端切れをタイフーンバーで削って木粉を作る。
A 木粉とヤマト糊を混ぜてパテ状にする。
⇒木粉は多めの方が良い。
⇒この手作りパテがコクソ。
B 適当な材にコクソを盛る。
C 盛る量にもよるが、半日から1日乾燥させる。
D 全体にヤスリをかける。
E グリーンストーンで羽出しする。
⇒柔らかいチュペロ材を削っている感じでした。
⇒木目が無いので、その辺は普通の材より削りやすいかも。
⇒ビットが汚れることはありませんでした。
F バーニングする
⇒若干溶けるような感じもしないこともないが、普通にバーニングできる。
と言った感じで、ここまでの結果は大変良好でした。ただ、ここまでで、以下の問題も発見しました。
この問題を解決しないと実際には使えません。
@ 元がデンプン糊なので、水に塗らすと直ぐにふやける。
A 繊維構造になっていないので、強度面に不安がある、
要は目止め・防水処理がしっかりできるかがポイントなのですが、昔、バードカービング教室で習った目止め
方法は「ラッカー50%+ラッカー薄め液50%」を2回程度塗るという方法でした。今回も、その方法で試してみた
のですが、簡単に水が浸入してふやけてしまいました。
で、色々試してみました(写真3)。左から以下の溶剤を薄めずに3回塗りしています。
@プレポリマー系溶剤(木固めエース)
Aニトロセルロース系溶剤(クリヤラッカー)
Bタミヤのプラモデル用セメント
結果は、Bは水が浸入してしまい駄目でした。@Aはしっかり目止めしてくれました。ラッカーは薄めないで
使うとしっかり目止めしてくれるようです。バーニングを潰すのではないかと心配だったのですが、案外大丈
夫なものです。
木固めエースが一番しっかり目止めしているような気がしますが、コチラ保存が効かないので、ネットで購入
になります。お値段もそれなりにします。あと、乾燥時間もかかります。
性能面では木固めエースが一番良いのですが、価格や扱いやすさも考慮すると、ラッカーが良いような気がし
ます。ただ、このラッカーも多少注意が必要でして、ホームセンターに行くと色んな木材の目止め剤が売って
いますが、成分表示がセルロース系になっている必要があります。
今回、水性の目止め剤も試したのですが、こちらは見事にふやけました。また、今回試してはいないのですが、
ウレタン系溶剤は、目を潰しやすいような気がします。ラッカーや木固めエースは木材に染み込んで目止めする
のに対し、ウレタン系溶剤は塗膜を作って目止めするような感じです。と言っても、自分、この辺の知識は自信
が無いので、あまり信用しないほうがいいです・・・。
コクソも目止め処理も、まだまだ実験の余地がありそうなので、研究は続けていきたいと思います。
コクソが使えれば削りすぎても修整できるので、かなり気分的に楽になります。
|
|
ひとまずハヤブサで実験(その1) |
「コクソ」が使えそうな目処がたったので、ハヤブサ胸像で実戦投入です。
チュペロの木粉を用意するのが面倒だったので、今回はバンドソーの中の適当な木粉を使いました。
写真1:ヤマト糊+木粉で作ったコクソ
写真2:コクソを盛った直後
写真3:1日乾燥させたところ
結果、今回は失敗でした。木粉の粒子が粗く、不純物が多すぎてあまり綺麗でないです。これでも削れない
こともないのですが、気になるのでやり直すことにします。
また、写真3にあるように少しクラックが入りました。盛る時にコクソを伸ばすような盛り方をすると、
クラックが入りやすいみたいです。なお、盛る時は、手にはハンドクリームを付けて、パテヘラには水を付
けながら盛っています。
|
|
ひとまずハヤブサで実験(その2) |
失敗したコクソをルビーカッターやダイヤモンドで削りとって、チュペロ材をタイフーンバーで削って作った
木粉で作ったコクソを使っています。
写真1:コクソを盛って1日乾燥させたところ
写真2:ヤスリかけしたところ
写真3:ヤスリかけしたところ
今回は成功だと思います。コクソに使う木粉は粒子が細かくて、盛る材と同じ材から削りだした方が良いみたい
です。今回盛ってみて、大分良くなったような気がします。コクソ様様です。
1点問題があるとすれば、修整ができるということは、なかなか形が決まらない事になりかねないことです。
今回も盛ってみて、いくつか気になる所がでてきました・・・。
|
|