小麦粉粘土 実験報告3 |
実験背景 |
[小麦粉粘土 実験報告2]で、以下の課題が残りました。気になるので実験してみます。
@ バーニングで粘土が溶けるのは、接着剤に含まれる樹脂が原因なのか?
A 木粉の量を変更させてみるとどうなるか?
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実験に使った材料の一部です。
・[でんぷん糊] : 昔ながらのチューブ糊です。(白いヤツ)
・[液体糊] : コイツの成分は[PVAL樹脂]らしいです。
・木粉 : [茶こし]で不純物を除去しました。
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実験結果 |
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@ 強力粉(70%)+木粉(30%)+でんぷん糊 (左)
A 強力粉(30%)+木粉(70%)+でんぷん糊 (右)
造形:柔らかくて、粘りあり。造形は不可能。
乾燥:結構速く乾く。ドライヤで乾かすと割れる。
硬さ:硬い。
削り:一応削れる。悪くはない。
焼き:溶けるが、強力粉単発ほどでない。
@の方が溶けやすい。
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B 薄力粉(70%)+木粉(30%)+でんぷん糊 (左)
C 薄力粉(30%)+木粉(70%)+でんぷん糊 (右)
造形:ややボソボソする。造形は不可能。
乾燥:遅い。一応割れずにすんだ。
硬さ:強力粉含有タイプより柔らかい。
削り:よく削れる。木の感覚にかなり近い。
焼き:少し溶けるが、強力粉含有タイプほど溶けない。
Cの方が溶け難く木に近い。溶けない分焦げる。
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D 強力粉(5%)+木粉(95%)+でんぷん糊
造形:かなりボソボソする。造形は不可能。
乾燥:早い。
硬さ:BCと同じくらい。
削り:よく削れる。木の感覚にかなり近い。
焼き:木とあまり変わらない。
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E 強力粉(30%)+木粉(70%)+液体糊
造形:柔らかくて、粘りあり。造形は不可能。
乾燥:早い。
硬さ:かなり硬い。(@Aより硬い)
削り:削りにくい。ビットに纏わり付く。
焼き:溶けるが、強力粉単発ほどでない。
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F 薄力粉(30%)+木粉(70%)+液体糊
造形:ややボソボソする。造形は不可能。
乾燥:Eよりは遅い感じ。
硬さ:Dの強力粉含有タイプより柔らかい。
削り:よく削れる。木の感覚にかなり近い。
焼き:少し溶けるが、強力粉含有タイプほど溶けない。
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まとめ・考察 |
今回の実験結果から、以下のことが分かりました。
@ バーニングで粘土が溶けるのは、接着剤に含まれる樹脂が原因なのか?
⇒樹脂が原因ではない。小麦粉自体が溶ける。特に強力粉は溶ける。
A 木粉の量を変更させてみるとどうなるか?
⇒木粉量が多いほど、切削性能、バーニング性能は上がる。
ただし、多すぎると粘土化し難くなる。
各要素についてまとめてみました。
@小麦粉について
・含有量が多いほうが、バーニングで溶けやすくなる。
・強力粉の方が、よりバーニングで溶けやすくなる。
・強力粉の方が硬く固まり、削り難くなる。
・強力粉の方が粘土にしやすい。薄力粉はボソボソになりやすい。
・強力粉の方が乾燥時間が短い。
A木粉について
・小麦粉に混ぜると、乾燥時間が短くなる。
・小麦粉に混ぜると、バーニングで溶け難くなる。
・木粉単発では粘土化できない。小麦粉を少量混ぜると粘土化できる。
Bつなぎ剤
・水だけだと割れる。乾燥時間も長い。
・木工用ボンド、液体糊は、樹脂系接着剤だが、バーニング性能には影響しない。
・でんぷん糊は、少し乾燥時間が長いように思う。
・コストパフォーマンス、扱いやすさでは、液体糊がいいように思う。
上記から、次は以下のサンプルを中心に作っていこうと思います。
@強力粉(70%)+木粉(30%)+液体糊
A薄力粉(30%)+木粉(70%)+液体糊
@は低温バーニングで、焦げ目無しで仕上げる場合を想定して。
Aは木に近い感じを目指して。
それにしても、造形性能が上がらないです。
今回の実験以外に、オリーブ油を混ぜてみたのですが、余計酷いことになりました。
グシャグシャで全然粘土化しなかったです。これなら、食用油の方がマシです。
割合いい感じなのがハンドクリームで、混ぜるとベタツキがなくなり、まとまりも良くなります。
このラインでも攻めていきたいところですが、ハンドクリームの分量を増やせば良いという感じ
でもなく、攻めあぐねています。そもそも、粒子が粗すぎて、これ以上の粘土化はできないのかも
しれません。
ただ、粘土しては駄目でも、パテとしては十二分の性能を発揮していると思います。
今まで、軽量石粉粘土をパテに使っていましたが、今度から[小麦+木粉粘土]を使ってみようと
思います。
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