トップバードカービングの部屋製作記録シジュウカラ >6.可動足の開発(ひとまず撤退・・・)


シジュウカラの製作記録を紹介しています。
道具や材料、詳細な作り方については「バードカービングの作り方」を参照してください。

 試作4


 引き続き、足の試作です。
 前回の試作では、握力が足りなかったので、足の裏に針金を付けて
 みました。単純に付けるのではなく、スプリングより若干短めの
 銅線をスプリングの中に挿入して付けています。固定しているのは
 スプリングのみです。
 
 針金が折れる理由を考えたのですが、1箇所に負荷が集中したり、
 曲がる角度が大きいと、そこから破断するようです。試作1の様な
 作りだと、ハンダ付けした箇所の根元付近に負荷がかかり、そこか
 ら折れるようです。
 
 対策として、負荷を分散させることですが、針金が完全に固定され
 てしまうと、負荷が分散されないので、スプリングを利用して、
 針金を完全固定せずに遊びをもたせました。
 
 で、結果ですが、駄目でした。
 遊びがあっても、針金の1箇所に負荷がかかってしまい折れました。
 また、握力も期待したほどなかったです。
 
 試作5


 試作5は、スプリングを使わずに、写真のように2本の針金で、
 足裏を加工してみました。遊びをもたせるため、フショ側に開けた穴
 に入る針金は固定していないです。
 
 針金を2本にすることで、針金の曲がる角度を抑えています。試作4
 では最大180度近く曲がりましたが、試作5では90度程度になる
 ようにし、針金への負荷を下げています。
 
 で、結果ですが、かなり良い感じなのですが微妙です。
 針金も折れず、握力も試作4よりかあるのですが、加工が少々難しい
 です。今回は安物の木を使ったので、加工精度が出なかったです。
 また、接着が弱く針金が取れやすい問題もありました。
 
 ちゃんとした材料で原型を作り、レジンキャストで抜けば、案外使え
 るかもしれないです。
 
 試作6


 スプリングと針金で試してみました。
 試作4同様に、針金はスプリングより短めにし、スプリングをフショ
 に固定し、針金の爪部分をスプリングに固定しています。
 
 で、結果ですが、全然駄目でした。
 見た目は、なんかカッコイイのですが、握力はないし、指がバラバラ
 に動くので安定しなかったです。この案は却下です。
 
 撤退&まとめ

 試作3、試作5が比較的良い感じだったので、もう少し進めたいと思いますが、残念ながら時間切れです。
 今回の開発は、ここで一回打ち止めです。この試作が上手く行けば、ウロコ付きの可動足をレジンキャスト
 で量産ができそうなのですが、そろそろ展示会の準備を本気で行わなければならないので一回保留とします。
 下の写真は試作3ベースの足です。こちらの方が試作5よりかは加工が楽で、それなりに握力もあります。
 
 また、試作1も悪く無いです。針金をもっと太くすれば、もう少しまともになると思います。ただ、試作1
 ベースだと量産がキツイかもしれません。あと、ウロコ表現が難しいです。
 
 今回試さなかったのですが、他の方法として、眼鏡のフレームに使う金具を流用する方法も考えました。
 ネジ止めできるので確実に固定できまるはずです。ただ、部品が手に入りにくいのと、それなりのお値段に
 なりそうなので、今回はやめておきました。
 
 また、足指を別パーツにして差し替えられるようにする方法も考えました。ガンプラの握り手、開き手みた
 いな感じです。これは確実性が高いのですが、差し替え方式は部品を無くすので好きでないのと、パーツ
 点数が増えるので今回は見送りました。ただ、この方法だとかなりリアルな物も作れると思います。
 
 足と体の関係

 今回、足指のみを可動させようとしましたが、よくよく考えると無理があるかもしれません。
 仮に足指が可動できたとして、そうすると色々アクションさせたくなり、次に可動する箇所としては
 フショの付け根が考えられます。しかし、ここが単純に動いても、あまり意味が無いかもしれません。
 
 下図は、鳥が背を伸ばしている所と、しゃがんでいる所を、筋肉ベースで描いたものです。
 鳥の筋肉、骨格は、それぞれが連動していて、単純に一箇所だけ動く事は少ないです。
 フショの付け根(足の出る所)は、同じ箇所でなく、図1では前の方、図3では後の方になります。
 なので、足の出る箇所を固定し、そこが動いたとしても、あまりバランスはとれないです。
 
 また、今回の開発で握力が問題になりましたが、実際の鳥は、普段そんなに握力をかけていないです。
 チハヤ(セーカーハヤブサ)を手に据えて、指を触ってみると、ほとんど力は入っていないです。
 特に、中趾と外趾は全然力が入っていないです。人間の親指、人差指にあたる、後趾、内趾は少し力が入って
 いますが、それも大したことないです。
 
 これは、鳥は普段、力任せに止まっているのではなく、バランスをとって止まっているからだと思います。
 と言うことは、指の握力よりも、バランスよく止まるようにすることの方が大事なのかもしれません。
 しかし、バランスよく止まらせようとすると、骨盤から下の骨の構造を再現する必要があり、更に、実際は
 首の動きにも連動してきます。そうなると、フル可動させるようなものであり、かなり難しくなります。
 難しそうなので、まずは足指に集中して、いずれはフル稼働を目指したいものです・・・。
 

 ついでに、鳥の動作について、いくつかポイントを書いておきます。
 バードカービングは、本体と足を別々に作るので、何も考えずに作ると不自然な形になる事があります。
 鳥は羽毛に覆われているので、筋肉や骨格の形を把握し難いですが、普段から意識しておいた方が良いです。
 
 なお、上図は、チハヤと、チハヤの餌のウズラを参考に書いています。内部構造はウズラを、自然な動作は
 チハヤの動作を参考にしています。鳥(特に猛禽)を飼っていると、色々勉強になります・・・。
 
 【ポイント】
  ・背中は融合頚椎になっているので、哺乳類のように動かないです。
  ・頭は基本的に水平になります。
  ・しゃがむと、首を畳んで頭も下がることが多いです。首を畳むと胸が少しでます。
  ・しゃがむと、翼も折畳まれます。翼が折畳まれると、翼の先端(小雨覆)が胸の前の方にきます。
  ・足の中心は重心線上に乗ります。(だからバランスがとれる)
  ・足の出る位置(A)は、図1では前の方、図3では後の方になります。
  ・足指の曲げ角度(B)は、足の出る位置(A)に連動します。
  ・斜めの箇所に止まっている場合、足の出る位置は、左右で変わります。
  

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